紙広告にGoogleアナリティクスは使える?──限界とQR計測
GA4は「Web上の行動」用。紙の反応はQRで測る
チラシを配った翌週、GA4の管理画面を開いて流入元を眺める。それらしい増え方をしている項目は……ない。強いて言えば direct が少し増えたような気もする。この「気もする」で終わる体験には理由があります。GA4だけでは、紙広告そのものの反応は測れないからです。ただし諦める話ではなく、QRコードと組み合わせれば“紙→Web”の橋渡しはできます。仕組みと設定手順を順に見ていきます。

Googleアナリティクスは「Web上の行動」を測るツール
GA4が記録するのは、あくまでWebサイトやアプリに来た後の行動です。どのページを見たか、どこから流入したか、購入まで至ったか——サイトに“来てから”のデータが中心です。
つまり、チラシを見た人が何人いたか・チラシを見て動いたかという「紙の上の反応」は、GA4の管轄外です。ここが多くの人がつまずくポイントです。
紙とWebの“あいだ”が測れない
チラシを配ってから、見た人がサイトに来るまでの間には、GA4のタグを仕込める場所がありません。だから「先月チラシを配ったら問い合わせが増えた気がするけど、GAのどこを見ればいいの?」となってしまう。紙とWebの“あいだ”をつなぐ仕掛けが別に必要なのです。
「参照元」を見ても分からない理由
QRから来た訪問は、GA4では多くの場合 direct(直接流入) に混ざります。QRリーダーやブラウザの仕様で参照元(リファラ)が残らないことが多いためです。ブックマークからの再訪問や、メールアプリからの流入も同じ direct に入るので、そのままでは「チラシ経由」を切り出せません。
橋渡しは「QRコード+計測用URL(UTM)」で
この“あいだ”をつなぐのが、計測できるQRコードです。チラシのQRに計測用のURLを仕込んでおくと、
- QRが読まれた回数そのもの(=紙の反応)を数えられる
- リンク先URLに UTMパラメータを付けておけば、GA4側でも「チラシ経由の訪問」として区別できる
これで、「チラシから何人が反応し(QR計測)→ そのうち何人がサイトで行動したか(GA4)」を、つなげて見られるようになります。
UTMの付け方(コピーして使える例)
UTMは、リンク先URLの末尾に付ける“流入元の名札”です。難しく考えず、媒体ごとに名前を変えるだけで構いません。
- 新聞折込用:
https://example.com/?utm_source=orikomi&utm_medium=flyer&utm_campaign=202608 - フリーペーパー用:
https://example.com/?utm_source=freepaper&utm_medium=print&utm_campaign=202608 - ポスティング用:
https://example.com/?utm_source=posting&utm_medium=flyer&utm_campaign=202608
AnalogTag では、QRを発行するときのリンク先URLに、この形のURLをそのまま登録します。あとは媒体ごとにQRを分けておけば、QR側では「媒体別の反応数」、GA4側では「媒体別のサイト内行動」が、それぞれ同じ区分で見られます。
コツ:utm_campaign に配布年月を入れる(例 202608)と、同じ媒体でも「今月の配布」と「先月の配布」を切り分けられます。命名は一度決めたら変えないのが鉄則です。GA4側でどこを見るか
- レポート → 集客 → トラフィック獲得:「セッションのソース / メディア」に
orikomi / flyerのように表示されます - キャンペーンで絞れば、配布月ごとの流入を比較できます
- コンバージョン(予約・問い合わせ)を設定していれば、媒体別のCV数まで追えます
QR計測とGA4は“役割分担”
| QR計測(AnalogTag) | Googleアナリティクス | |
|---|---|---|
| 測る対象 | 紙広告の反応(スキャン) | Web上の行動 |
| 分かること | 媒体別・時間帯別・デバイス別の反応数 | ページ閲覧・CV・流入元 |
| 紙の媒体比較 | ◎ 得意(媒体ごとにQRを分ける) | △ UTMを付けて初めて可能 |
| サイトが無くても | ◎ 使える(リンク先はSNSや予約ページでも可) | × 自社サイトが前提 |
| 使いどころ | どの紙媒体が効いたか | サイト内の改善 |
どちらかが優れているという話ではなく、紙はQR計測・WebはGA4と役割を分け、UTMでつなぐのが実務的です。
数字が一致しないのは異常ではない
QRのスキャン数とGA4のセッション数は、たいてい一致しません。読み取ったあとページを開く前に離脱する人がいたり、GA4側でCookie同意前の計測が行われなかったりするためです。「スキャン数=興味を持った人」「GA4のセッション=サイトに到達した人」と役割を分けて見れば、ズレは問題になりません。
ずれ幅の感覚を、数字で1つ。ある月の折込で、QR側のスキャンが312件、同じ期間にGA4で orikomi / flyer として記録されたセッションが240件だったとします(数字は説明のための例です)。312 − 240 = 72件が消えており、240 ÷ 312 = 約77%しかGA4に現れていない計算です。それでも壊れてはいません。ページが開く前に閉じた人、Cookie同意を押さなかった人、電波が細くて計測タグが動く前に離脱した人が、この72件の中身です。
使い方としては、この比率を毎月だいたい一定と見なして構いません。先月も77%前後なら、月ごとの増減はそのまま比べられます。逆に、ある月だけ 240 ÷ 312 に当たる値が半分以下に落ちたなら、リンク先ページが重い・エラーが出ている・タグが外れているなど、途中で何かが起きているサインとして使えます。
今日やるなら
次のチラシを作る前に、媒体ごとのUTM付きURL(上の例をコピーして書き換えるだけ)を用意して、それをリンク先にした計測QRを発行しておく。これだけで、次の配布からは「チラシから何件反応し(QR計測)、そのうち何人がサイトで動いたか(GA4)」が両方揃います。GA4の画面をいくら眺めても出てこなかった数字が、仕込み10分で手に入ります。
紙広告の反応を、今日から数字に。
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